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歯科コラム Column

小児矯正はいつまで続ける?「成長を待つこと」を治療にしない

小児矯正
監修:歯科医師 伊藤 尚史

「成長が終わるまで、矯正も終われないのでしょうか?」成長の確認と、歯を動かす治療の継続は別です。当院の「伊藤式こども時短矯正」は、子どもの時期に意味のある治療を必要以上に長引かせず、主に第1期の中で完了を目指す治療体系です。ゴールに達したら、積極的な治療を一度終了します。

終了後も、保定や生え替わりの観察、お口の健康管理は必要に応じて行います。この記事では、それぞれの役割と、成長による変化を見守りながら本人が仕上げを選べるようにする考え方を説明します。

結論

子どもの歯や顎は、治療が終わった後も変化します。だからこそ経過の確認は必要ですが、それだけを理由に、今回の矯正治療を終わりのないものにする必要はありません。

成長を待つことを、治療にしない。

これは、子どもの成長を診ないという意味ではありません。今行う治療と、その後に続けるケアの目的を分けて、ご家族に説明するという当院の考え方です。

子どもの成長は、矯正の予定表どおりには終わりません

側方歯群の生え替わりで、歯列は変わります

側方歯群とは、前歯の横に並ぶ犬歯や小臼歯などの歯のまとまりです。乳犬歯や乳臼歯が永久犬歯・小臼歯へ生え替わる中で、歯の位置に多少のゆがみが生じることがあります。

第1期では、将来の永久犬歯の場所などを準備します。しかし、実際の萌出位置までその時点で固定することはできません。必要な診察や検査で、生える方向と周囲への影響を確認します。

12歳臼歯も、新たにかみ合わせへ加わります

12歳臼歯とは、永久歯の第二大臼歯のことです。おおむね12歳前後に生えることからそう呼ばれますが、萌出時期には個人差があります。

奥に新たな歯が加わることで、かみ合わせを再評価する必要があります。「第1期で整えた歯がすべて元に戻った」と、ひとまとめに扱う変化ではありません。

成長スパートで、上下の顎のバランスも変わります

成長スパートとは、思春期などに身長をはじめとする成長が急に進む時期です。上下の顎の成長にも変化があり、かみ合わせのバランスが変わることがあります。

身長が伸びた時期だけで、顎の成長が終わったとは判断しません。歯の生え替わりと骨格の変化を別々に確認します。

成長に伴う変化と、後戻りを区別します

後戻りとは、治療で動かした歯が、治療前の位置へ戻る方向に変化することです。一方、新しく生えた歯の位置や顎の成長による不整は、別の要素です。

両方が関係することもあるため、変化をすべて「失敗」や「後戻り」とは呼びません。診察で原因を整理し、何に対応する必要があるかを判断します。

「治療」と「管理」は、何が違うのでしょうか?

保護者の方にとっては、同じ医院に通う以上、どれも「矯正の通院」に見えるかもしれません。違いは、診察を受けるかどうかではなく、今何を変えようとしているかです。

ここでは、通院を次の7つの目的に分けて考えます。実際には複数の目的が同じ受診日に重なることもあります。期間を分けて説明することが、今何を行っているかを理解する助けになります。

歯を動かし、かみ合わせに働きかける

装置を使って目標に向けた変化を起こす段階です。本シリーズでは「積極的な矯正治療」と呼びます。歯が予定どおり動いているか、かみ合わせはどう変わったかを確認します。

歯の重なりを治すなどのゴールに対し、現在地を評価します。変化が止まった場合は、装着状態や生え替わり、治療計画を見直します。

整えた位置を保定する

保定は、動かした歯の後戻りを抑え、治療で得た状態を保つための段階です。見た目が整った直後に、必要な保定まで自己判断でやめることはできません。

保定は矯正治療の大切な一部ですが、新たに歯を動かす治療とは目的が異なります。

保定装置の種類、使う時間、確認する間隔は状態に合わせます。保定が続いていることと、最初の治療が未完了であることは、同じ意味ではありません。

歯の生え替わりを観察する

乳歯から永久歯への交換、側方歯群や12歳臼歯の萌出を確認します。歯が生える時期と方向を見守る期間であり、待っている間ずっと装置で歯を動かす必要があるとは限りません。

顎骨の成長を観察する

上下の顎の成長バランスと、かみ合わせの変化を確認します。歯の生え替わりの確認とは目的が異なり、永久歯がそろった後も評価が必要な場合があります。

観察中に問題が見つかれば、間隔を変えたり、追加の検査や治療を検討したりします。「待つ」とは、問題を放置することではありません。

一般歯科として口の健康を管理する

むし歯・歯肉炎の予防や、歯みがき指導などです。これは、矯正を受けたかどうかにかかわらず、子どもの健康に必要な診療です。

一般歯科での通院が続くことを、そのまま「矯正治療が何年も終わらない」と表す必要はありません。

口腔機能を管理する

口唇閉鎖、舌の働き、かむ・飲み込む機能などを評価し、必要な支援と再評価を行います。口腔機能発達不全症などの管理が長期に必要な場合もありますが、それが歯を動かす矯正治療の継続を意味するわけではありません。

MFTなどの口腔機能訓練を行う

MFTは、お口の使い方を整える口腔筋機能療法です。評価で見つかった課題に対し、必要に応じて舌や唇などの訓練を行います。機能を管理・評価する期間と、具体的な訓練を行う期間にも、それぞれ目標と再評価の時期を設けます。

MFTが続いていることだけを理由に、矯正治療を延長しません。必要な機能への支援と、計画した位置に歯を動かす治療を、それぞれの目的で大切にします。

当院が「いったん終了」と伝えるときの意味

今回のゴールに達したことを確認します

当院は、開始時に今回治す問題と、終わる予定を共有します。終了時には歯の位置だけでなく、今回目指したかみ合わせや機能について確認します。

「期限が来たから未達成でも終わる」ということではありません。予定と実際がずれた場合は、原因を説明し、計画の修正が必要かを相談します。

これから何を診るかを、別にお伝えします

積極的な矯正治療を終える際には、その後のケアを具体的にします。家族にとって大切なのは、終了した後の行動が分かることです。

  • 保定装置が必要か、どう使用するか
  • 次はいつ受診し、何を確認するか
  • 成長や生え替わりで、どのような変化に注目するか
  • 予定より早く連絡したほうがよい変化は何か

装置が合わない、かみにくさが出た、かみ合わせが変わったと感じる場合は、予定日を待たず相談してください。通院の区切りと、相談できる関係は両立します。

具体例:前歯を治した後に、永久歯の生え方を待つ場合

たとえば、前歯の反対のかみ合わせを治すことが今回の目標だったとします。目標を達成し、積極的な治療を終えた後には、必要な保定を行いながら、これから生える歯の位置を確認します。

このとき「永久歯が全部そろうまで前歯の治療を続ける」と考える必要はありません。今回治ったことと、今後確認することを分けてお伝えします。

その後も問題がなければ、追加の矯正は行いません。新たな問題が生じたら、まず治療を急ぐ医学的理由があるかを確認します。重大な問題がない細かなゆがみは、成長後に本人が希望したときの仕上げ矯正として考えます。この例は期間や結果を保証する実症例ではなく、考え方を示すものです。

仕上げ矯正は、成長と本人の希望を確認して考えます

第1期終了後の再評価では、「前に矯正をしたから続けるか」ではなく、「今、治すべき問題があるか」を判断します。永久歯列になったことや、中学生になったことだけで次の治療へ進めません。

重大な問題がない細かな歯のゆがみは、顎の成長が概ね落ち着いた後に、本人が整えたいと希望した時点で仕上げ矯正を検討します。成人してから自分の意思で選ぶこともできます。

一方、埋伏歯や重大なかみ合わせのずれなどは、成長を待つ方針を理由に放置しません。必要な検査・治療は行い、不要な継続を避ける。その両方が治療設計です。

伊藤歯科クリニックの考え方

私は、子どもの成長を見守ることと、矯正を終わらせることは両立すると考えています。伊藤式こども時短矯正で今治す意味のある問題に取り組み、ゴールに達したら一度終了します。

その後の保定、成長観察、一般歯科管理、口腔機能管理には、それぞれの目的を持たせます。親御さんが支える第1期の先に、本人が成長後の仕上げを選べる時間をつくる。それが、5つの原則を臨床で実践する方法です。

まとめ

  • 成長が続くことと、歯を動かす治療を続けることは別です。
  • 治療、保定、成長観察、一般歯科管理、口腔機能管理の5つを分けて説明します。
  • 「いったん終了」は、必要な保定や診察をやめる意味ではありません。
  • 終了時には、次の受診時期・目的と、早めに相談する目安を確認しましょう。
  • 伊藤式こども時短矯正を完了し、成長後の細かな仕上げは本人の希望も踏まえて判断します。

詳しく知りたい方は、西宮市甲子園の伊藤歯科クリニックにご相談ください

小児矯正がいつ終わるか分からないときは、今の通院が歯を動かすためなのか、保定や成長観察のためなのかを確認しましょう。伊藤歯科クリニックでは、矯正検査と治療経過に基づき、今回のゴールへの到達を判断します。

第1期を完了した後は、保定、生え替わりと顎の成長の確認、むし歯予防、必要な口腔機能管理を、それぞれの目的で説明します。見守る期間を、そのまま積極的な矯正治療の年数にはしません。

「装置はいつまで使うのか」「次の診察では何を見るのか」「変化があったらいつ相談するのか」まで、ご家族と共有します。治療を終えることと、お口の健康を守ることを両立できるよう、終了後の見通しを具体的に整理しましょう。

Q&A

子どもの矯正が終了したら、定期検診にも行かなくてよいですか?

必要な保定や定期的な確認は続けます。「終了」は今回の積極的な治療の区切りです。次の受診目的と時期は、終了時に確認してください。

リテーナーなどの保定装置を使う間も、矯正治療中ですか?

保定は矯正治療の一連の過程に含まれます。ただし歯を動かす段階とは異なるため、当院では保定として目的と期間を分けて説明します。

子どもの歯ならびの経過観察は、何もしないことですか?

 何もしないことではありません。歯の生え方やかみ合わせを診察し、治療の必要性が変わっていないかを確認します。装置で働きかける必要がなければ、観察を続けます。

MFTを続ける間、マウスピースなどの矯正装置も必要ですか?

MFT(口腔筋機能療法)が続くという理由だけで、矯正装置を継続するとは限りません。口腔機能の訓練、歯の移動、保定について、それぞれ必要性を判断します。

治療後に歯ならびやかみ合わせが変わったら、すぐ第2期矯正ですか?

すぐ始めるとは限りません。成長による変化か後戻りかを診断し、医学的に急ぐ理由がなければ、成長後に本人が希望して仕上げる選択肢があります。

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監修者プロフィール

甲子園矯正歯科 伊藤歯科クリニック
院長 伊藤 尚史
プロフィール

大阪大学歯学部卒業。同大学大学院修了(歯学博士)。
口腔外科領域において高度な臨床経験を積んだ後、伊藤歯科クリニックを開院。
歯科医師臨床研修指導医。

3500症例以上の矯正治療経験を有するマウスピース矯正の臨床家。
甲子園矯正歯科 伊藤歯科クリニックでは、年間300症例以上を院長自ら一貫して直接治療・経過管理している。
さらに外部歯科医院を含め年間750症例以上のマウスピース矯正治療を統括・管理し、インビザライン・ブルーダイヤモンドプロバイダーに認定。
多数症例の解析データに基づき、再現性と安全性を重視した治療設計を実践している。

資格
  • 歯科医師(大阪大学歯学部卒業)
  • 歯学博士(大阪大学大学院歯科口腔外科)
  • 歯科医師臨床研修指導医
  • インビザライン(マウスピース矯正)
  • ブルーダイヤモンドプロバイダー(年間750症例以上)
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