第3回 八重歯は予防できる?小児矯正で犬歯が生えるスペースを作る理由
「犬歯が八重歯になるのを、小学生のうちに防げますか?」将来の生え方を保証することはできませんが、永久犬歯が生えるための場所を準備することには意味があります。見えている前歯をそろえるだけでなく、まだ生えていない歯の居場所まで考えることが大切です。
当院は、子どもの時期に意味のある治療を必要以上に長引かせず、主に第1期の中で完了を目指す治療体系を「伊藤式こども時短矯正」と呼びます。この記事では、その重要な目標である犬歯の萌出スペースと、八重歯になりにくい環境を整える考え方を説明します。
結論
永久犬歯が歯列の中に並ぶには、その歯が収まる場所が必要です。場所が不足している場合、犬歯が外側に生えたり、予定する歯列からずれて生えたりすることがあります。
当院は、乳犬歯周囲に将来の永久犬歯が萌出するスペースを準備することを、第1期の重要な目標にしています。
「萌出」とは、歯が生えてくることです。スペースを確保しても、生える方向や時期などの要因があるため、八重歯を必ず予防できるとはいえません。
犬歯は、なぜ八重歯になるのでしょうか?
永久犬歯が並ぶ場所が足りないことがあります
犬歯は、中央の前歯から数えて3番目に位置する歯です。とくに上の永久犬歯が外側にずれ、周囲の歯と重なるように生えた状態は、一般に「八重歯」と呼ばれます。

永久歯の大きさに対して歯が並ぶ場所が足りないと、犬歯が歯列の外へ押し出されるように生えることがあります。今ある乳歯が並んでいるかだけでは、将来の犬歯の場所を十分に評価できません。
スペース以外の要因も確認します
犬歯の向き、周囲の歯の位置、乳歯の生え替わり方なども関係します。場所を広げれば、どの犬歯でも自然に正しい位置へ生える、と単純には考えません。
必要な診察や画像検査で、生える経路に問題がないか、周囲の歯へ影響していないかを確認します。埋伏歯などが疑われる場合は、単なる八重歯予防とは別の対応が必要です。
なぜ乳犬歯のある段階から、場所を考えるのでしょうか?
生えてから並べることと、生える前に準備することは違います
永久犬歯が大きく外れた位置に生えてから、歯を並べ直す方法もあります。一方、子どもの時期には、生え替わりを見越して歯列全体の形とスペースを整える考え方があります。
当院は、乳犬歯の周囲に将来の永久犬歯の居場所を準備し、八重歯になりにくい環境を整えることを重視します。乳犬歯を抜けばよい、という意味ではありません。
前歯だけでなく、歯列全体から設計します
前歯が見た目よく並んでいても、犬歯が生える場所が不足していれば、今回の治療目標を十分に満たしたとは限りません。前歯と奥歯の位置関係、歯列の形、基本的なかみ合わせを合わせて考えます。
必要な場所は子どもによって異なります。大きく広げること自体を目標にせず、歯と周囲の組織の状態を評価し、無理のない治療計画を立てます。
八重歯は、中学生頃に再治療を考えるきっかけになります
当院では、中学生頃に「もう一度、歯ならびを整えたい」と感じる代表的なきっかけの一つが、永久犬歯の八重歯だと考えています。犬歯が生えたことで、それまで目立たなかった歯の重なりが気になる場合があるためです。
そこで第1期では、今見えている歯だけでなく、その後に犬歯が並ぶ場所を準備します。将来、中学生頃に急いで再治療を考えたくなる原因を、可能な範囲で減らすためです。
ただし、八重歯がなければ追加治療が必要ない、と判断するわけではありません。重大なかみ合わせのずれや、歯が生えない問題などは、別に評価します。
第1期のゴールを達成したら、治療はいったん終了します

犬歯が生えるまで、装置治療を続けるとは限りません
当院は、今回の歯列の形や萌出スペース、基本的なかみ合わせの目標に達したら、第1期を一度完了させます。その後は必要な保定を行い、歯が生える様子を確認します。
保定は整えた歯の位置を保つための段階です。保定と萌出の観察を分けて説明し、「犬歯がまだ生えていないから矯正治療も終われない」という一律の扱いはしません。
生え替わり後の多少のゆがみは、成長後に選べます
永久歯の萌出や顎の成長により、細かな歯のゆがみが現れることはあります。すべてを第1期の失敗や後戻りとは呼びません。
重大な医学的問題がなければ、成長が概ね落ち着き、本人がさらに整えたいと思った時点で仕上げ矯正を選べます。中学生という年齢だけで開始を決める必要はないと、当院は考えています。
伊藤歯科クリニックの考え方
当院は、今ある歯をそろえるだけでなく、これから生える永久犬歯の場所も治療のゴールに含めます。子どもの時期に対応する意味があることを行い、その第1期を一度完了させるためです。
乳犬歯周囲のスペースを準備し、将来八重歯になりにくい環境を整える。これが、伊藤式こども時短矯正の重要な目的の一つです。
まとめ
- 八重歯には、永久犬歯が生えるスペース不足などが関係します。
- 第1期では、乳犬歯周囲に将来の犬歯の居場所を準備します。
- スペースを確保しても、将来の生え方を保証することはできません。
- 伊藤式こども時短矯正を完了した後は、保定と萌出の観察を分けて行います。
詳しく知りたい方は、西宮市甲子園の伊藤歯科クリニックにご相談ください
八重歯が心配でも、見えている前歯だけで将来の犬歯の生え方を判断することはできません。伊藤歯科クリニックでは、矯正検査で永久犬歯の位置や生える方向、歯列全体のスペース、かみ合わせを確認します。
第1期では、乳犬歯の周囲に将来の犬歯が並ぶ場所を準備することを重視します。そのうえで、今回どの状態を目指すのか、治療後に何を観察するのかを説明します。八重歯予防を保証するのではなく、お子さんに合うゴールを具体的に考える診療です。
「まだ犬歯が生えていない」「すでに歯が重なっている」という場合も、まず状態を確認することが大切です。今対応する意味があるか、観察を続ける段階かを整理しましょう。
Q&A
Q. 子どもの八重歯は、第1期矯正で予防できますか?
八重歯を必ず予防できるわけではありません。永久犬歯のスペースを確保し、生えやすい環境を整えることを目指します。その後の生える向きや位置も確認します。
Q. 乳犬歯を抜けば、大人の犬歯が生えるスペースはできますか?
乳犬歯を抜くことだけで解決するとは限りません。必要なスペースや永久犬歯の位置を診断して対応を決めます。家庭で抜こうとせず、歯科医院で相談してください。
Q. 永久犬歯が生えるまで、子どもの矯正装置を使い続けますか?
犬歯の萌出を待つことだけを理由に、歯を動かす装置治療を続けるとは限りません。今回の治療、保定、萌出の観察を、それぞれの目的で判断します。
Q. すでに犬歯が重なって歯ならびがガタガタでも相談できますか?
相談できます。犬歯と周囲の歯の位置、かみ合わせ、成長の状態を確認し、今対応する意味があるかを判断します。
Q. 八重歯がなければ、第2期矯正や仕上げ矯正は不要ですか?
八重歯の有無だけでは判断できません。かみ合わせや他の歯の状態も確認します。重大な問題がない細かな仕上げは、本人の希望をもとに検討します。
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監修者プロフィール
- プロフィール
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大阪大学歯学部卒業。同大学大学院修了(歯学博士)。
口腔外科領域において高度な臨床経験を積んだ後、伊藤歯科クリニックを開院。
歯科医師臨床研修指導医。3500症例以上の矯正治療経験を有するマウスピース矯正の臨床家。
甲子園矯正歯科 伊藤歯科クリニックでは、年間300症例以上を院長自ら一貫して直接治療・経過管理している。
さらに外部歯科医院を含め年間750症例以上のマウスピース矯正治療を統括・管理し、インビザライン・ブルーダイヤモンドプロバイダーに認定。
多数症例の解析データに基づき、再現性と安全性を重視した治療設計を実践している。 - 資格
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- 歯科医師(大阪大学歯学部卒業)
- 歯学博士(大阪大学大学院歯科口腔外科)
- 歯科医師臨床研修指導医
- インビザライン(マウスピース矯正)
- ブルーダイヤモンドプロバイダー(年間750症例以上)
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