削る前に、知ってほしい大切な考え方があります

むし歯治療は「治す治療」ではありません
一度むし歯で失われた歯は、削って整えることはできても、元の歯に戻すことはできないからです。
むし歯治療の本質は、悪くなった部分を取り除き、これ以上進行しないように止めることにあります。
そのため、治療を繰り返すほど歯は少しずつ削られ、強度が落ち、寿命は短くなっていきます。
だから私たちは、「とりあえず治す」治療ではなく、どうすれば、同じ歯を何度も治療しなくて済むかを大切にしています。
今の症状だけを見るのではなく、10年後、20年後の歯まで考える。
それが、当院のむし歯治療の考え方です。
むし歯は、気づかないうちに少しずつ進行します
進行の段階によって、治療内容も歯への負担も大きく変わります
むし歯の進み方と、必要になる治療
むし歯は、ある日突然ひどくなる病気ではありません。
気づかないうちに、少しずつ段階を踏んで進行していきます。
大切なのは、「むし歯かどうか」ではなく、「今、どの段階にいるのか」を知ることです。
進行の段階によって、
- 削る量
- 治療回数
- 歯への負担
は大きく変わります。
まずは、ご自身の症状に近いものがどれか、確認しながら読み進めてみてください。
「痛みの有無」「しみるかどうか」は、むし歯の進行度を知るヒントになります。
| 進行状況 | C0むし歯の前兆 | C1軽度のむし歯 | C2中度のむし歯 | C3重度のむし歯 | C4最重度のむし歯 |
|---|---|---|---|---|---|
| むし歯の状態 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 診断 | この段階では、ご本人がまったく気づかずに見過ごしていることがほとんどです。 | 痛みがないため、検診で初めて指摘されることが多い段階です | 冷たいものがしみて、『そろそろ治した方がいいかな』と感じ始める方が多い段階です。 | 強い痛みが出てから来院される方が多く、この段階で初めて“大ごと”と感じるケースが少なくありません。 | 痛みが落ち着いていても、歯を残すことが難しくなっているケースが多い段階です。 |
| 治療方法 | フッ素塗布で削らずに再石灰化を促進 | むし歯菌に感染した部分のみを最小限に削り、レジン(白い樹脂)を詰めて修復 | むし歯になった部分をしっかり除去し、詰めものや被せもので修復 | 感染した神経を取り除き、根の中をきれいにしてから被せもので修復 | 抜歯が必要となり、抜歯後はブリッジやインプラントなどで機能を回復 |
むし歯は、ある日突然ひどくなる病気ではありません。
気づかないうちに、少しずつ段階を踏んで進行していきます。
むし歯治療を重ねた歯に、実際に起きていること
「治したから安心」と思っても、治療によって歯の強度は低下していくのです。

一度削った歯は、元には戻りません。
治療でできるのは「修復」であって「回復」ではありません。
これ以上、歯を削らないためにできること
むし歯治療を減らすことが、歯の寿命を延ばす近道です。
「すべてを完璧にする必要はありません。できるところから1つずつで大丈夫です。」
- むし歯になりにくい食べ方・みがき方にする
- 予防効果の高い歯みがき剤・うがい薬を使う
- 定期的なクリーニングで、細菌の付着を防ぐ
- 治療の際は汚れにくい、歯が割れにくい治療を選ぶ
- 磨き残しが少ないきれいな歯ならびに整える
- 歯ぎしり・食いしばりを予防する
むし歯の進行を止めるための治療方法
むし歯の大きさによって、適した治療は異なります。
小さなむし歯を、その日のうちに治す方法
CR(樹脂・プラスチック)充填
削る量が少ない場合に選ばれる、樹脂による治療です。

むし歯が小さい場合の治療として、むし歯を削り取り、その部分に歯と同じような色の樹脂を詰めて固める方法があります。これはおもに奥歯の噛む面や前歯の歯と歯の間、あるいは歯と歯茎の境目(楔状欠損)に適用されます。
ただし、この樹脂は治療直後は自然な見た目ですが、劣化しやすく、強度も低いため、時間が経過すると割れたり、変色して周りの歯と色味が合わなくなる可能性があります。
大きく削った歯を守るための詰めもの・被せもの
インレー・クラウン(銀・金・セラミック)
歯の残り方や噛む力に合わせて選びます。

広い範囲がむし歯になってしまったり、根の治療(根管治療)を行った場合に歯を補うために用いられるのがインレー(詰めもの)やクラウン(被せもの)による治療です。
被せものの種類の材質や制作工程の違い、接着方法の違いから、自費治療と保険治療に分けられています。
口腔内全体の状態や歯そのものの状態により、適した方法は異なります。また再発のリスク等の違いもあるため、ご自身に適した方法を選ぶことが重要になります。
治療して終わりにしないための考え方
むし歯治療で最も大切なのは「再発させないこと」です

同じ歯を、何度も治療しないために
治療した歯は、再発しやすい状態でもあります。
治療によって歯を削ると、その部分の耐久性が低下し、プラーク(歯垢)が付きやすくなるためです。
当院では、「治して終わり」ではなく、再発させない口腔環境づくりを重視しています。
むし歯になりにくい口の中を保つために
定期検診とクリーニングが、最大の予防になります。

保険と自費、何がどう違うのか
見た目と噛み合わせ、どちらを優先したいのか
「どちらが良い・悪いではなく、“どこまで歯を守りたいか”で選ぶものです。」
むし歯を治す際の「詰めもの・被せもの」には、保険適用材料と自費(自由・保険外)診療材料の2つの選択肢があります。
どちらにもメリットとデメリットがあり、見た目・強度・再発リスク・コストなどが異なります。
当院では、患者さんのご希望やお口の状態に合わせて最適な素材をご提案しています。
見た目は、ここまで違います
自然さを重視する方には、白い素材が選ばれています

保険治療では金属(銀歯)や樹脂素材を使用しますが、
自費治療ではセラミックやジルコニアなど、天然の歯に近い色・透明感のある素材を選ぶことができます。
見た目を重視する前歯にはセラミックが自然で、奥歯など強い力がかかる部位には、適合性と強度に優れた金(ゴールドクラウン)もおすすめです。金属アレルギーのリスクが低く、長期間安定して使える素材です。
長い目で見たときの、本当の治療費
むし歯治療を考えるとき、「今回いくらかかるか」が気になるのは自然なことです。
しかし、治療の本当の差が出るのは、最初の金額ではなく、その歯を何回治療することになるかです。
たとえば――
- 5年ほどでやり直しが必要になる治療
- 10年以上、安定して使える治療
どちらも治療直後は「治った」ように見えます。
ですが、数年後には「また治療が必要です」と言われるかどうかに、大きな違いが出てきます。
そして、歯のトラブルは都合のいいタイミングで起きてくれるとは限りません。
- 仕事が忙しい時
- 子育てや介護で通院が難しい時
- 体力や気力が落ちてきた将来
そうした人生の節目に、同じ歯の治療を繰り返すことになる方も少なくありません。
長く安定する治療を選ぶことは、将来の治療回数や通院の負担を減らす選択でもあります。
今だけを見るのではなく、この歯と、これから何年付き合っていくのか。その視点で治療を考えることが、結果的に「本当の意味で負担の少ない治療」につながります。
だから当院では、今だけでなく、数年後・10年後を見据えた治療をご提案しています。
銀歯とセラミックを比べてみるとそれぞれに向き・不向きがあります
| 銀歯 (保険) | セラミック (自費) | |
|---|---|---|
| 見た目 | 銀色で目立つ | 白色で透明感がある |
| 汚れにくさ | 数年で黒ずむ | 汚れ・匂いがつきにくい |
| 柔らかさ | 違和感のない噛み心地 | 噛み心地が良い |
| 丈夫さ | 丈夫だが、経年で変形・劣化の可能性 | 劣化しにくいが割れることがある |
| 安全性 | 金属アレルギーの可能性 | 身体に優しい素材 |
セラミック治療について詳しくは「メタルフリー治療」のページをご覧ください。
- むし歯治療は痛いですか?
多くの方が不安に感じる点ですが、当院ではできるだけ痛みを感じにくい治療を心がけています。
表面麻酔や電動麻酔器を使用し、麻酔そのものの刺激も最小限に抑えています。
「昔のむし歯治療が怖かった」という方や、痛みに敏感な方、お子さんでも安心して治療を受けていただけます。
- 音や振動が苦手でも大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。
治療中の音や振動が苦手な方も少なくありません。
当院では、必要以上に削らない治療を行うことで、音や振動そのものを減らす工夫をしています。
不安がある場合は、遠慮なく事前にお伝えください。
- 治療にはどのくらい時間がかかりますか?
むし歯の大きさや進行具合によって異なりますが、
小さなむし歯であれば1回30分程度で終わることも多くあります。
進行している場合でも、事前に治療回数や時間の目安をしっかりご説明しますので、予定が立てやすくなります。
- 治療は何回くらいで終わりますか?
初期〜中等度のむし歯(C1〜C2)であれば、1〜2回で完了します。
神経まで進行している場合(C3)は、根の治療が必要となり、数回に分けての治療になります。
大切なのは、途中で中断せず、最後まで治しきることです。
- 応急処置だけしてもらうことはできますか?
はい、可能です。
強い痛みがある場合などは、まず痛みを抑える応急処置を行うこともできます。
ただし、応急処置はあくまで一時的な対応です。
根本的な解決には、原因となっているむし歯の治療が必要になります。
- できるだけ歯を削らずに治すことはできますか?
むし歯の進行度によっては可能です。
初期のむし歯(C0〜C1)であれば、削らずに再石灰化を促す予防的な対応ができる場合もあります。
ただし、進行しているむし歯を無理に削らず放置すると、結果的に歯を大きく失うことになります。
当院では、「今削らないこと」と「将来守ること」のバランスを大切にしています。
- 神経を取らずに済む場合はありますか?
はい、あります。
むし歯が神経に達する前であれば、神経を残した治療が可能です。
そのためにも、早期発見・早期治療がとても重要になります。
「まだ痛くないから大丈夫」と思わず、違和感があれば早めにご相談ください。
- 神経を取ると、歯はどうなりますか?
神経を取った歯は、血流がなくなるためもろくなり、割れやすくなります。
見た目はきれいに治っていても、歯の強度は大きく低下しています。
そのため、根の治療後は被せもの(クラウン)で歯を保護し、できるだけ長持ちさせる必要があります。
- 保険治療と自費治療は、何が一番違うのですか?
大きな違いは、見た目・耐久性・再発のしにくさ・将来の治療回数です。
保険治療は費用を抑えられますが、再発ややり直しのリスクが高くなる場合があります。
自費治療は初期費用はかかりますが、長持ちしやすく、再治療のリスクを下げることができます。
- 銀歯を白くすることはできますか?
はい、可能です。
セラミックやジルコニアなど、白く自然な見た目の素材に置き換えることができます。
見た目だけでなく、汚れにくさや再発リスクの面でもメリットがあります。
- 長い目で見ると、どちらの治療が得ですか?
初期費用だけを見ると保険治療の方が安く感じますが、再発ややり直しを繰り返すと、結果的に治療回数も費用も増えてしまうことがあります。
「何度も治療しないこと」が、歯の寿命と総治療費を抑える近道です。
- 治療した歯が、またむし歯になることはありますか?
はい、あります。
治療した歯は、健康な歯よりも再発しやすい状態になります。
だからこそ、治療後のケアがとても重要です。
- 再発させないために、何をすればいいですか?
最も大切なのは、定期検診とプロフェッショナルクリーニングです。
歯ブラシだけでは落としきれない汚れを定期的に除去し、
むし歯になりにくい口の中を保つことが、最大の予防になります。
- どのくらいの頻度で検診を受ければいいですか?
基本的には、3ヶ月に1回の定期検診をおすすめしています。
むし歯や歯周病のリスクが高い方は、状態に応じて間隔を調整します。
- 妊娠中でもむし歯治療はできますか?
安定期(妊娠5〜8ヶ月頃)であれば可能です。
レントゲン撮影や麻酔も、母体と赤ちゃんに配慮して行います。
体調や時期に不安がある場合は、必ず事前にご相談ください。
- 子どものむし歯も診てもらえますか?
もちろん可能です。
お子さんのむし歯は、将来の歯ならびや噛み合わせにも影響します。
怖がらせない治療を心がけていますので、安心してお任せください。
- 相談だけでも受診していいですか?
はい、もちろんです。
「今すぐ治療が必要か知りたい」「削らずに済むか相談したい」
そうしたご相談も大歓迎です。
無理に治療を進めることはありませんので、まずはお気軽にご来院ください。
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8:30~12:00 | |||||||
| 13:30~17:00 |
※休診日:日曜・祝日
診療時間外はLINEでメッセージをお受けします。






